2016年11月13日日曜日

赤ちゃんの理解力をナメてはいけない

ある大学の大学院に、認知発達に関する研究に協力するため、1歳の息子を連れていきました。
人の目線や表情から、赤ちゃんが何を理解しているかをみる実験です。

めたくそ面白かったです。
みなさん、子供が小さいからと言って甘くみてはいけません。この子たちは、まだ言葉も話せないうちから、すべてのことを理解しています。


実験では、子どもに特殊なセンサーを付け、映像を見ながら目線と顔の筋肉がどのような動きをするのかモニターしました。映像には目の前におもちゃが置かれた女性が映し出されます。女性の目線はおもちゃにそそがれ、やがておもちゃを手にしてうれしそうな顔をします。

これにより子どもは女性がおもちゃを求めているんだということが分かります。

次に、おもちゃの前に目隠しが置かれます。女性からはおもちゃが見えないことを、子どもは理解します。「相手の立場に立って」考えられているということです。女性はおもちゃを探しますが、見えないことになっているので、見つけることができません。子どもは、困っている女性に、「そこだよ、そこだよ」と教えるようなしぐさをします。







この実験により、子どもはまだ言葉も話せないうちから以下のことをやってのけていることが分かります。

・ 相手の目線が何を指しているか理解する
・ 相手の求めていることを察知する
・ 楽しい、困っているなどの感情を見分ける


息子の目線はレーザーポインターのように映像に映し出されました。子どもは思いのほか相手の目をしっかり見ています。よくマナー講座なんかで「顔全体を見る」なんてアドバイスされますが、本能的にはバッチリ眼球を見るようになっています。

そして興味深いのは、多くの場合相手の右目を見ていることです。これは映像は主に右脳で処理されるため、自分から見て左側の情報を重視する傾向があるためです。視線を表す赤点がお姉さんの右目を指しまくっててちょっとこわかったです。


あと、テストで使われた映像には女性しか出てきませんでした。わけを聞くと、1~3歳くらいまでの子は男性をこわがったりいやがったりするので、目線や顔の筋肉の動きが正確に収集できないからだそうです。

小さい子が男の人を嫌い女の人を好むのはやっぱり統計的に正しいようです。こういうデータを見ると、「育児は女の仕事」てな意見には「うるせーバカ」と思っていた価値観が少し揺らいでしまいます。

子どもは相手の目線だけでなく、表情にも敏感です。相手が笑うと自分もつられて笑い、泣いていると顔がこわばります。感情を共有できることは「共感」であり、これは人同士が信頼関係を築くために不可欠なものです。1歳どころか数カ月の赤ちゃんでもこの能力はすでに備えています。


もちろん成長や正確には個人差があり、上記のような結果が出なかったとしても気にする必要はありません。ただ、一般的に人は人とうまくやるために特殊な能力を小さい頃から持っていることは確かです。

「人の目を見て話しましょう」
「目は口ほどにものを言う」
は、単なる標語やことわざではなかったんですね。

あー楽しかった。





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