2016年5月27日金曜日

小学校における習熟度別クラス分けの難題


当たり前のことですが、学習のスピードには個人差があります。

そのため、個々の学習スピードに合わせた授業をすべき、という意見があります。いわゆる「習熟度別クラス」です。

私個人の意見としては、習熟度別クラス分けによる授業には賛成です。

走るのが速い子に、「他の子がまだだからそこで足踏みでもしてて」と言うとやる気をなくしてしまうのと同様に、勉強が得意な子に他の子の都合で次のステップに行かせないというのは、とてももったいないことだと思います。

また、まだ定義や概念を理解していない段階の子に、ミスを減らしてスピードアップするための学習をさせるのは、自信をなくしてストレスを与えるだけの時間になってしまいます。

早いのが良い、遅いのが悪いという話ではなく、「いまどんな勉強方法をすべきか」に合わせた授業をすることが理想なのです。


娘が通う小学校は普通の公立なのですが、算数に限ってだけ3年生から習熟度別クラス分けを導入しています。「公立なのに進んでるなぁ」と感心していたのですが、実際に習熟度別クラスを学校がやるには、ひじょーーーにデリケートな問題があるようです。


まず、クラス名です。明らかにランクが分かるクラス名にできません。A-B-Cでも1-2-3でもバレバレだし、ましてや上-中-下なんていじめの原因になります。かと言って「ひまわり」「たんぽぽ」とかだと幼稚園みたいになってしまいます。その結果、「どんどん」「しっかり」「じっくり」という、どれもポジティブに聞こえるクラス名に落ち着いたようです。しかもクラスの違いの説明では、先生が「どれもやることは一緒よ」と強調しすぎたために、習熟度別になっていることすらあいまいになってしまいました。

また、習熟度別クラスでもっともやっかいなのが、クラス分け結果に対する親からのクレームです。どの親も自分の子が(実際よりも)できると思っているので、クラス分けの結果を見て保護者が「なんでウチの子が一番下のクラスなんだーー!!!」と怒鳴りこんでくるのは、もはや定番です。私立の進学高校でもそういうことがあるので、公立の小学校なんて言うまでもないって感じです。

それを避けるためか、娘の学校では本人にアンケートを取るという手法を取っています。「学校が勝手に決めたんじゃないんですよ。本人がゆっくりやりたいと言っているので」とワンクッションおけるようにしてあるのでしょう。ナイスアイデア。間違っても親にアンケートは取ってはいけません。みんな一番上のクラスを希望してしまいます。

しかし、

・ クラスの違いを明確にしない
・ クラス選択を子供本人の判断にゆだねる

といった手段を取ったために、子供が適切なクラスを選択できないという事態を招いてしまいました。うちの場合、

娘:「じっくりコースにしてきたよ」
母:「何で?テストは全部100点だったやん。どんどんコースじゃないの?」
娘:「でも1学期に1回だけ繰り上がり計算間違えたことあるし、算数苦手なの」
母:「1回だけで!?謙虚か!」
娘:「あと、じっくりコースは人が少なくて静かなんだって」
母:「そういう理由かい!!」


何事もメリットがあればデメリットがあります。習熟度別クラスのデメリットを薄めようとした結果、メリットも薄まってしまった事例です。

学校がはっきり言えない部分は、家で情報を補てんしてあげましょう。あれはね、レベルで分けてんの!人によって勉強の進み方が違うんだから、勉強方法も違うの!と。


個人の能力を追求すれば角が立つし、平等を追求すれば効率が下がる。
学校ってホント大変だなーと思いました。





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